肘~痛みを自分で治す方法と日常生活での注意点

≪肘~痛みを自分で治す方法と日常生活での注意点≫

●代表的な肘の痛み●

 ・腱鞘炎:
   手首や指の酷使によって腕の筋腱を使い過ぎたために起こる疾患のことをいいます。

   同じ動作を繰り返し行うことによって、腱鞘(筋肉の力を手や足に伝えるためのひも

   状の組織(腱)があり、腱は骨から浮き上がらないように「腱鞘」というトンネルの

   中を通っている)が炎症を起こして腱の滑りが悪くなり、指を動かす度に痛みが発生

   するというものです。うまく手や指を動かすことができなかったり、動かしたときに

  「ポキッ」「コリッ」など、不自然な音がするという症状があります。

 ・変形性関節症:
   スポーツや重労働による肘関節の酷使や加齢、肘関節内骨折などの肘関節外傷や関節

   炎により、肘関節が変形することをいいます。関節の中の軟骨や骨がすり減ってしま

   い負担をかけ、結果的に関節が変形していきます。進行性があるのが特徴です。ま

   た、変形した関節に棘(とげ)ができたり、骨の一部がはがれて「関節遊離体(別

   名:関節鼠)」となり、関節の中を動き回るため、動かすときに激痛が走ることもあ

   ります。近年はパソコンなどの普及により、その発生率は上昇傾向です。症状として

   は、安静時にはほとんど痛みはありませんが、肘を動かした後に痛くなることが多い

   です。
 ・肘部管症候群:
   別名を「遅発性尺骨神経麻痺」といいます。尺骨神経(肘から手首に伸びている2本

   の骨のうちの小指側の骨に通っている神経)が、外傷がもとでの肘の変形や変形性関

   節症、腫瘍(ガングリオンなど)からの骨棘などで圧迫されることによって起こりま

   す。症状としては、手指にシビレなどが起きて、特に薬指と小指にシビレを感じたり

   知覚異常がでます。ひどくなると、曲がったまま伸ばせなくなることもあり、肘の内

   側を押すと手指にビーンとシビレが走ります。

 ・肘内障:
   2~4歳くらいの子供に多く発生し、手を強く引っ張ったり捻ったときに、腕がだ

   らっとして「肘が抜けた」ようになることをいいます。このとき関節内では、肘関節

   の尺骨と橈骨にくっついている橈骨輪状靭帯から、橈骨頭(肘の外側の骨)がはずれ

   かかった状態になっています。症状としては、痛がって腕を下げたままで動かさなく

   なります。

 ・上腕骨外側上顆炎(テニス肘):
   肘の外側にある、骨の隆起部分についている筋肉(前腕伸筋群:手首を返す筋肉群)

   の使いすぎによる炎症のことをいいます。手のひらを内側に返すときのような手首を

   内反回転させる動きの負荷によって起こり、日常生活においては、物をつかんで上に

   持ち上げる動作やタオルを絞るをする際に、肘の外側から前腕にかけて痛みが痛みが

   出ます。ただし多くの場合、安静時での痛みはありません。

 ・上腕骨内側上顆炎(野球肘・ゴルフ肘):
   手を酷使することによって、前腕屈筋群(手首を手の平側に曲げる筋肉群)に慢性の

   外的刺激が加わり、屈筋・回内(ドアノブを握って内側にひねる動作)など手の平を

   外にむける時のような動作の負荷によって、腱繊維の微小亀裂や炎症が生じることを

   いいます。原因としては、肘への負荷が過剰になることにより、外側で骨同士がぶつ

   かり、肘の内側の隆起部分の骨や軟骨が剥がれたり痛んだりするためです。その結果

   肘の内側でも、靭帯や腱や軟骨も痛みます。症状としては、物をすくいあげるように 

   物を持ち上げたり、手に力を入れる動作時に痛みが出ます。肘の内側に痛みを感じる

   ようになり、ひどくなると、肘の伸びや曲がりが悪くなり動かせなくなります。

 ・上腕三頭筋腱炎:
   腕にある上腕三頭筋(肘を伸ばす筋肉)の付け根である肘の使いすぎや挫傷などに

   よって、その部分が炎症を起こすことをいいます。これは、上腕三頭筋は腱となって

   肘関節の肘頭(肘の後ろの突起部分)についており、そこが何度も引っ張られて微小

   の損傷が起きて炎症を起こしている状態です。症状としては、腕や手首を伸ばす際に

   関節痛があります。

●自分でできる解消法●

<疾患別の運動方法> 

 ・腱鞘炎:①前腕のストレッチ
       やり方:1、まず手の平を上に向けて、片方の腕をまっすぐに伸ばします。
           2、反対側の手で伸ばしている方の手首を持ち、下に曲げます。
           3、前腕がつっぱる感じがするところで、5秒間維持します。
           4、終わったら、次は手の平を下に向けて、同様に行います。

      ②前腕の運動
       やり方:1、両腕をまっすぐに伸ばします。
           2、その状態のままで、手を握ったり開いたりを繰り返します。
             ※握る・開くを1回として、10~30回繰り返しましょう。


 ・変形性関節症:

      ①前腕のストレッチ
       やり方:1、まず手の平を上に向けて、片方の腕をまっすぐに伸ばします。
           2、反対側の手で伸ばしている方の手首を持ち、下に曲げます。
           3、前腕がつっぱる感じがするところで、5秒間維持します。
           4、終わったら、次は手の平を下に向けて、同様に行います。

      ②上腕のストレッチ(前面)
       やり方:1、胸の前で腕を横に伸ばし、もう一方の手で抱え込むようにしま

             す。
           2、抱え込んだ腕を手前に引いていきます。
           3、腕の前面がつっぱる感じがするところで、そのまま5秒間維持

             します。
      ③上腕のストレッチ(後面)
       やり方:1、片方の腕を上げてから肘を曲げて、反対の手で頭の後ろから肘

             をつかみます。
           2、頭を下げないようにして、肘を下または頭の中心に向けて押し

             ていきます。
           3、腕の後面がつっぱる感じがするところで、そのまま5秒間維持

             します。
      ④前腕の運動
       やり方:1、まず、大きめの紙(新聞紙など)を1枚用意します。
           2、紙を広げて、腕をまっすぐ前に伸ばして持ちます。
           3、指の力を使って紙を手の平へくしゃくしゃに集めます。

      ⑤上腕の運動(前面)
       やり方:1、腕を体の横にまっすぐに下ろします。
           2、指先が肩につくまで肘を曲げます。
           3、ゆっくりと元の位置に戻します。

            (※10回程繰り返しましょう)

      ⑥上腕の運動(後面)
       やり方:1、肩を耳につけるように上に挙げます。
           2、反対の手で肘を支えて、肘を上方に向けるように、指先を肩に

             触れます。
           3、指先を上方に向けるように肘を伸ばして、元の位置に戻しま

             す。

             (※10回程繰り返しましょう)


 ・肘部管症候群:

      ①前腕のストレッチ
       やり方:1、まず手の平を上に向けて、片方の腕をまっすぐに伸ばします。
           2、反対側の手で伸ばしている方の手首を持ち、下に曲げます。
           3、前腕がつっぱる感じがするところで、5秒間維持します。
           4、終わったら、次は手の平を下に向けて、同様に行います。

      ②前腕の運動(前面:手の平側)
       やり方:1、イスに座り、片方の前腕を太ももの上に置き、手の平を上に向

             けます。
           2、前腕を太ももから離さずに、手の平を自分の体の方に曲げま

             す。
           3、曲げたら、ゆっくりと元の位置に戻します。

            (※10回程繰り返しましょう)

      ③前腕の運動(後面:手の甲側)
       やり方:1、イスに座り、片方の前腕を太ももの上に置き、手の甲を上に向

             けます。
           2、前腕を太ももから離さずに、手の甲を天井方向に曲げます。
           3、曲げたら、ゆっくりと元の位置に戻します。

            (※10回程繰り返しましょう)

      ④前腕の運動(チューブを使っての運動Ⅰ)
       やり方:1、まず、チューブの一方の端を固定します。
           2、イスに座り、もう一方の端を手の平を下にして握ります。
            ※この時、前腕が外側にずれないように反対の手で押さえます。
           3、その状態から、小指側を下にあおる感じでチューブを巻き込む

             ように、手首を外側にひっくり返します。
            (※10回程繰り返しましょう。)

      ⑤前腕の運動(グーパー運動)
       やり方:1、イスに座って、腕を伸ばして手を胸の前に出します。
           2、その状態のままで、指をグーにします。
           3、さらに指をパーにして、ゆっくりと戻します。

            (※10回程繰り返しましょう)


 ・肘内障:肘が抜けた時の整復方法
       やり方:1、子供をイスに座らせて、出来る限り痛い腕を伸ばし、片方の手

             で肘を持ち、もう一方の手で手首を持ちます。
            ※痛がる場合は、無理矢理伸ばさないようにしましょう。
           2、そのあと、手前に引っ張りながら肘をゆっくりと曲げます。
           3、肘に「コリッ」とした感じがしたら、整復されます。
       ★そのあとに固定や運動など特にすることはありませんが、もし心配でした

        ら冷湿布を貼っておいた方がいいでしょう。肘内障は自然に整復されるこ

        ともありますので、痛い方の腕を軽く引っ張りながら、前腕をゆっくりと

        手の平を上に向ける動作を行うだけでも整復されます。ただし、念のため

        にも整骨院や整形外科を早めに受診することをお勧めします。
        一度起こすと繰り返しやすいので、急に子供の手を引っ張ったり引き上げ

        たりすることのないように注意しましょう。


 ・上腕骨外側上顆炎(テニス肘):

       ①前腕のストレッチ
        やり方:1、まず手の平を上に向けて、片方の腕をまっすぐに伸ばしま

              す。
            2、反対側の手で伸ばしている方の手首を持ち、下に曲げます。
            3、前腕がつっぱる感じがするところで、5秒間維持します。
            4、終わったら、次は手の平を下に向けて、同様に行います。

       ②前腕の運動(前面:手の甲側)
        やり方:1、イスに座り、片方の前腕を太ももの上に置き、手の甲を上に

              向けます。
            2、前腕を太ももから離さずに、手の甲を天井方向に曲げます。
            3、曲げたら、ゆっくりと元の位置に戻します。

             (※10回程繰り返しましょう)
       ③前腕の運動(後面:手の平側)
        やり方:1、イスに座り、片方の前腕を太ももの上に置き、手の平を上に

              向けます。
            2、前腕を太ももから離さずに、手の平を自分の体の方に曲げま

              す。
             3、曲げたら、ゆっくりと元の位置に戻します。

             (※10回程繰り返しましょう)

       ④前腕の運動(チューブを使っての運動Ⅱ)
        やり方:1、まず、チューブの一方を端に固定します。
            2、イスに座り、チューブのもう一方の端を体の側方に固定し、

              固定した側が親指側になるようにして、チューブの端を手の

              平を上にして握ります。
              ※この時、前腕が内側にずれないように反対の手で押さえま

               す。
            3、親指側からチューブを巻き込むようにして、手首を内側に

              ひっくり返します。

             (※10回程繰り返しましょう)
       ⑤前腕の運動(グーパー運動)
        やり方:1、イスに座り、片方の前腕を太ももの上に置き、手の甲を上に

              向けます。
            2、前腕を太ももから離さずに、手の甲を天井方向に曲げます。
            3、曲げたら、ゆっくりと元の位置に戻します。

             (※10回程繰り返しましょう)

       ⑥手指と前腕の運動(タオル絞り体操)
        やり方:1、イスに座り、タオルを折りたたんで棒状にまとめ、手の平を

              自分の体に向けて握ります。
            2、両手の親指が交差するように、まとめたタオルを内側にひね

              ります。

             (※10回程繰り返しましょう)


 ・上腕骨内側上顆炎(野球肘・ゴルフ肘):

       ①前腕のストレッチ
        やり方:1、まず手の平を上に向けて、片方の腕をまっすぐに伸ばしま

              す。
            2、反対側の手で伸ばしている方の手首を持ち、下に曲げます。
            3、前腕がつっぱる感じがするところで、5秒間維持します。
            4、終わったら、次は手の平を下に向けて、同様に行います。

       ②前腕の運動(前面:手の平側)
        やり方:1、イスに座り、片方の前腕を太ももの上に置き、手の平を上に

              向けます。
            2、前腕を太ももから離さずに、手の平を自分の体の方に曲げま

              す。
            3、曲げたら、ゆっくりと元の位置に戻します。

             (※10回程繰り返しましょう)
       ③前腕の運動(後面:手の甲側)
        やり方:1、イスに座り、片方の前腕を太ももの上に置き、手の甲を上に

              向けます。
            2、前腕を太ももから離さずに、手の甲を天井方向に曲げます。
            3、曲げたら、ゆっくりと元の位置に戻します。

           (※10回程繰り返しましょう)

       ④前腕の運動(チューブを使っての運動Ⅰ)
        やり方:1、まず、チューブの一方の端を固定します。
            2、イスに座り、もう一方の端を手の平を下にして握ります。
            ※この時、前腕が外側にずれないように反対の手で押さえます。
            3、その状態から、小指側を下にあおる感じでチューブを巻き込

              むように、手首を外側にひっくり返します。
             (※10回程繰り返しましょう。)
       ⑤前腕の運動(グーパー運動)
        やり方:1、イスに座り、片方の前腕を太ももの上に置き、手の甲を上に

              向けます。

            2、前腕を太ももから離さずに、手の甲を天井方向に曲げます。
            3、曲げたら、ゆっくりと元の位置に戻します。

             (※10回程繰り返しましょう)

       ⑥手指と前腕の運動(タオル絞り体操)
        やり方:1、イスに座り、タオルを折りたたんで棒状にまとめ、手の平を

              自分の体に向けて握ります。

            2、両手の親指が交差するように、まとめたタオルを内側にひね

              ります。

             (※10回程繰り返しましょう)

 

 ・上腕三頭筋腱炎:

       ①上腕のストレッチ(前面)
        やり方:1、胸の前で腕を横に伸ばし、もう一方の手で抱え込むようにし

              ます。
            2、抱え込んだ腕を手前に引いていきます。
            3、腕の前面がつっぱる感じがするところで、そのまま5秒間維

              持します。
       ②上腕のストレッチ(後面)
        やり方:1、片方の腕を上げてから肘を曲げて、反対の手で頭の後ろから

              肘をつかみます。
            2、頭を下げないようにして、肘を下または頭の中心に向けて押

              していきます。
            3、腕の後面がつっぱる感じがするところで、そのまま5秒間維

              持します。

       ③上腕の運動(前面)
        やり方:1、腕を体の横にまっすぐに下ろします。
            2、指先が肩につくまで肘を曲げます。
            3、ゆっくりと元の位置に戻します。

             (※10回程繰り返しましょう)

       ④上腕の運動(後面)
        やり方:1、肩を耳につけるように上に挙げます。
            2、反対の手で肘を支えて、肘を上方に向けるように、指先を肩

              に触れます。
            3、指先を上方に向けるように肘を伸ばして、元の位置に戻しま

              す。

             (※10回程繰り返しましょう)

<肘の痛みに対するツボ>

 ○ツボの押し方
  押す力は「気持ちがいいと思える強さ」で押して下さい。それぞれ強弱はあると思いま

  すが、強ければ良いというものではありません。
  全てのツボは、ゆっくりと息を吐きながら5秒程押し、息をゆっくりと吸いながら5秒

  程かけて指の力を抜いて下さい。これを、一か所5~10回を目安に繰り返しますが、

  体調によって回数を加減しましょう。

 

 ・曲池(きょくち):肘を曲げた時にできる大きなシワの親指側の端に位置します。
   効果:外側上顆炎(テニス肘)、肘の痛みや疲れの解消

 

 ・上廉(じょうれん):手首から肘の間にあり、親指側にある最も太く張り出していると

            ころに位置します。
   効果:外側上顆炎(テニス肘)、肘の痛みの解消

 

 ・肘りょう(ちゅうりょう):肘を曲げたシワの外側から肩へ向かって親指1本分のとこ

               ろに位置します。
   効果:外側上顆炎(テニス肘)、神経痛、こわばりやシビレ感の解消

 

 ・手三里(てさんり):肘を深く曲げるとできる横ジワの親指側の先端から、親指側へ

            6cm程のところに位置します。
   効果:外側上顆炎(テニス肘)、寝違いの解消
 
 ・天井(てんせい):肘頭(肘のてっぺん)から手の甲に向かって指1本分のへこみの部

           分を位置します。
   効果:内側上顆炎

 

 ・小海(しょうかい):肘を少し曲げた時にできる横シワ(手の甲側)の小指側の端のと

            ころに位置します。
   効果:内側上顆炎

 

 ★肘内障においては特に必要な処置はありませんが、もし整復後に違和感などがありまし

  たら、すぐに専門家の受診をお勧めします。

 

●日常生活での注意点●

<日常生活動作において気をつけること>

 ①手の平を下にして物を持ち、肘だけで動かさないようにしましょう。
  ※物を持ち上げる際には、手の平を上に向けて物を持ち上げるようにして動かしましょ

   う。

 ②パソコンなどを使う際には、適度な休憩を入れましょう。
  ※キーボードを打つ姿勢は、手首や指に大きな負担がかかっているため、肘の痛みにつ

   ながります。

 ③手首や指の使いすぎは、できるだけ避けるようにしましょう。


<日常生活の中に取り入れること>

 ①痛みがある部分を冷やす・温める
  ※冷やす:患部に熱を持っていたり炎症がある場合や、運動後に行います。

      (10~15分程)
   温める:患部の血行を改善し、痛みを和らげます。
       日常生活の中で手指を使う前に、温めてから仕事を始めるというのも効果的

       です。

 ②サポーターをつける
  ※サポーターは、手首などからくる衝撃を肘の痛い部分に達する前に吸収・分散させる

   効果があり、痛みを和らげることができます。


 ★日常生活の中で始められるところから、無理なく取り入れてみて下さい!

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コメント: 1
  • #1

    inayoshi (土曜日, 03 2月 2018 11:39)

    ゴルフで痛めました、70歳ですが、一度試みてみます。